コロナ禍の中での認知症予防活動
私たちが認知症予防を目的に活動を始めてから漸く形が整えられた時期にコロナ禍が襲い掛かってきました。今年に入ってから活動はばったり止まっています。いつ再開するかも全く予測がつかない状況が続いています。幸いに私たちの町に感染者はでてはいませんが依然として油断を許さない状況が続いているのは他所と変わらないです。私たち「今度会」メンバーは後期高齢者がほとんどで特に一人暮らしの方が多くその影響の大きさを実感しています。
ここで昨年1年間の「今度会」の活動を振り返った後、これからどのように活動を進めるかを考えてみたいと思います。1年間を通して参加しているメンバーのお話を聞いて分かってきた特徴をまとめると、共通して地域社会活動や自らの健康管理に徹底していることでした。一つの例として、多くの方が健康維持増進のために5種類程度の取り組みをなさっていることでした。具体例をあげますと、規則正しい食事とバランスのとれた栄養の摂取、程よい運動や睡眠、趣味を生かした習いごと、そして積極的な地域社会活動や人との交流などを行っていました。まさに、認知症予防のために勧められることを実践してきている方がほとんどでした。
こうした方々が集まりお互いの知識と経験を共有しようとしていた矢先にコロナ禍が襲ってきた形になり、その悪影響は少なからずメンバーにも出ています。実際に、何より外出を控えている状況で身体的に弱っていることを訴えている方もいますし、当然ながらこのような状況が長引いているなかで精神的にも相当疲れている方も少なくないようです。
こうした状況が簡単に解決される見通しが立たない現状で何をどうすればよいかを考える中、家の中でも実践できる情報や方法を提供することにしました。いうまでもなく認知能力が落ちないように簡単で実践しやすい何かを提供したいと思いました。その一つとして、短期記憶を長期記憶に変える方法を中心に資料を作成して配布する準備を進めています。例えば、見たり聞いたりした情報が短期記憶として脳の中の海馬に入りますが、その短期記憶は時間とともに順次忘れられていきます。エビングハウスの忘却曲線で知られていますが、記憶を失わずに長く記憶するいわゆる長期記憶に定着させるために家の中で一人でも実践できる簡単な方法を紹介することです。具体的には、情報を見たり、読んだり、書いたりする各々の動作を同時に行った方が記憶に残ると専門家は薦めています。
写真:読み書きしながらハングル語を学ぶ勉強会の様子。おしゃべりや社交の機会になっている。
また、自分が好きな場所で学習した方が記憶に残しやすいとも専門家は言います。これらの記憶方法は習慣の問題であり実践しようとすればそれほど難しくはありません。実は、自分はトイレに新聞を持ち込み読みながら慣れない言葉があったら声を出し、書きながら読むことを意識的に実践しています。
写真:読み書きのためにトイレに備えてある書籍など(笑)
高齢者の生活と意識に関する国際比較調査の結果を見ますと、日本の高齢者は欧米の高齢者に比べて地域社会活動にあまり積極的ではない傾向がはっきりと浮き彫りになっていました。いろんな研究結果でも人とのつながりの重要性と認知症予防との相関関係が明らかになっていますとおり、本来であれば私たちのような活動は認知症予防においてとても重要であることが言えます。
コロナの影響で直接触れ合うことはできないにしても何らかの形で人とのつながりを大事にする姿勢がより一層重要な時期であります。皆様もぜひ家の中でも実践できる様々なことに取り組み、心身ともに衰弱を防ぎながら元気な日々をお過ごしください。
次回は、認知症予防のための関連知識を整理して紹介できるように頑張りたいと思います。
名寄「今度会」 黄京性(名寄市立大学)
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