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執筆者の写真Wellbeing

「馬追いの道具」北海道博物館で公開中!

 北海道博物館(札幌市厚別区)の総合展示室には、「度々来てもちょっと違う展示を楽しめる」を趣旨に、話題性のある内容を期間限定で入れ替えて紹介する「クロ-ズアップ展示」があります。このほど、私(青柳、北海道博物館)が担当した展示「馬追(うまお)いの道具」がスタートしました(写真1)。今年12月16日(水)までご覧いただけます。


写真1 北海道博物館クロ-ズアップ展示「馬追いの道具」


 馬追いとは、山からきり出した丸太を収穫する一連の作業の中で、馬を使って木材を運搬する林業労働者を指します。トラックやブルドーザなどが普及する以前、北海道の林業の現場では、専用の馬そりを利用して、丸太を集めたり、運んだりする馬追い達が活躍しました。

 この展示は、朝日町郷土資料室、知恵の蔵運営委員会、そして士別市朝日町内の馬追い経験者の組織「初午会」の協力を得て作成しました。私は、この3者との連携によって、2009年から、同町での聞き取り調査、そして経験者による技術の再現と短編記録映像の作成事業に取り組んできました。展示は、これら成果を活用して、ハイライトで紹介するとともに、経験がない世代や都市に暮らすかたにもわかりやすくご覧いただけるよう工夫しています。<トビ>と<角まわし>(いずれも丸太を動かす道具:写真2)の使い方、丸太を馬そりへ効率的に積み込む方法などをビジュアルで学べる、再現画像パネルや映像(写真3)が、見どころとなっています。馬追いにとって欠かせない道具<トビ>ですが、この価格について意外な事実がわかる、製品カタログも初紹介します。ぜひこの機会に、北海道博物館にて、馬追いたちの技術を体感ください。

写真2 <トビ>と<角まわし> 

<角まわし>は右側の鉄製の輪とフックからなる道具です。写真のように組み合わせずに、「トビだけ」、「角まわしだけ」で使う方法もあります。詳しくは、展示をぜひご覧ください。

写真3 「キンマに丸太をのせる」再現映像 

笑い声やジョークも飛び出し、出演者や観客のかたがたはとても楽しみながら映像製作に参加くださいました。

※ただいま公開中のクロ-ズアップ展示の詳細は下記をご覧ください。

(北海道博物館のHPに移動します)

 さて、道内の都市間移動制限が解除された今年6月下旬、上記3者の有志に集まっていただき、「馬追いの道具と技術」をテーマとする、思い出サロンを開催しました。マスクを着用し、消毒、換気、三密回避などを慎重に行いながらの実施でした。 

 サロンが始まると、造材作業で苦楽を共にした仲間との、久しぶりの談話に、一気に和やかな雰囲気に。高品質と名高かった同町「後藤鉄工場」製の<トビ>の特色、<角まわし>の多様な用途、実績者だった先輩の技術といった思い出を、限られた時間ながら、丁寧に語っていただきました。

 サロンでは、参加者の知識によって、同資料室の所蔵資料<ヒツキリン>(柄を挿し込む穴の部分、<ヒツ>に鋭利な刃がある、トビの一種:写真4)について、新たな情報が明らかになる場面もありました。さらには、「ウイルスは見えないからな。見えたら退治してやるのに」とのジョークも飛び出し、かつての腕利きの馬追い達のパワーに圧倒された、楽しいひとときとなりました。

写真4 <ヒツキリン>の思い出を語り合う 

写真下部の道具が、<ヒツキリン>の頭部(柄を除いた部分)。最左の人物がふれている部分が<ヒツ>で上部先端に鋭利な刃があります。

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