―名寄『今度会(こんどかい)』の活動―― 自主的な認知症予防活動
Ⅰ.『今度会』発足経緯と活動の趣旨
本活動は、名寄市内外に住む高齢者が自らの努力で元気な高齢期を過ごせるように日常生活の中で積極的に実践しようという趣旨ではじめられたものであります。既存の認知症予防関連の多くの情報を提供し日常生活に生かしながら個々人が認知症にならないように心かけることで元気な高齢期を過ごすことができるようにするところに最終的な目的があります。
経験的に、この種の活動を進めるにおいて最も重要だと思ったことが「受動的になりがちな高齢者に対して、認知症予防活動が自分のために大切なことであることを認識してもらうことから始めないとならない」ということです。そのために単独・単発的な実践内容だけでなく、なるべく多くのことを積極的かつ継続的に行うことが大事であることを理解してもらうことを意識した取り組みを基本としました。
Ⅱ.活動日誌・内容
この活動のきっかけをつくったのは地域の大学の教員で、大学の地域への貢献の一環として以前から近隣の過疎地域の高齢者と協同で取り組んできている活動の延長線にあります。しかしながらこうした活動は簡単にはいかないもので、趣旨には賛同してもいざ活動を始めてもなかなか出席しないという課題は付き物です。本会も、話を始めて1年が経ちようやく会の名称が作られたばかりです。その間、高齢者個々人に対して活動の趣旨説明を重ね賛同を得る努力をしつつ一歩ずつ進めてきて現在に至っています。今回は、その努力や実践の内容を簡単に紹介します。
まず活動の場を町の中心から少し離れた場所にあるカフェにしました。理由はこの活動に参加するようになった方々が予てから常連としてよく訪れている場所で馴染んでいることや町からのアクセスが容易であることそしてお互いに顔見知りの方が多いことなどがあげられます。
活動1:今年1月からカフェで本会の活動に賛同してくれたピアノ指導者のご協力を得てピアノレッスンを始め週2回のペースで続けてきています。
この活動は、ピアノを習いながら徐々に弾けるようになる楽しみと学習による脳活への効果、とりわけ参加者同士の交流による良き人間関係、すなわちつながりにも結びついています。
活動2:各種勉強会の開催
本会の特徴は、地域所在の大学の教員などの研究活動を地域の高齢者のウェルビーイングに役立てたいという狙いもあり、今後多様な形でかかわる計画を持っています。ということで、まず5月21日は栄養学科の教員が高齢期の健康に関係する栄養の知識についていろいろとお話をしてくださいました。
そして、9月には高齢者・高齢期の身体的・社会的・精神的な特徴を理解してもらうための話を社会福祉学科の教員である私(黄:名寄市立大学)が しました。
10月には、認知症予防のためのこうした活動を広めることも重要であると思い、町の中のある町内会に出向き認知症予防のために役立つ日本や外国の事例を紹介することで意識向上を図りました。
その結果、本会が取り組んでいることに機会があれば積極的に参加したい意思を表明した方が半数を超えました。
また、11月には、本会のメンバーを対象に長寿にかかわる重要要素を理解していただくために認知能力の減退予防のための研究として有名な フィンランドのFinger研究や免疫力の内容を中心に話しました。
こうした内容は、本会の会合に集まった時だけ行えばよいものではなく、むしろお一人で居宅にいる際も日常生活のあらゆる場面で意識しつつ生活してこそ効果が期待できるという意義を強調しています。
これからも本会の会合では、日常生活の様々な場面で役立つ多種多様な実践しやすい知識などを共有できるようにしていきたいと思っています。今回の報告はここまでにしますが、来年夏までにはより詳しい活動の内容をご報告できるように頑張りたいと思います。
最後に、本組織の名称を「今度会」とした理由は、本会の参加者の一人の名字の発音からアイディアを得て付けた名前です。Kさんは、90歳になった現在も地域社会活動を活発になされているだけなく、すべての物事に肯定的かつ積極的に取り組んでいらっしゃいます。まさに長寿の秘訣を実践されている方であります。こうしたKさんに対する敬意とその生き方を見習おうという意味を込めて作られた名称であります。
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